タイトル画像

小島慶子『解縛』

2015.12.26(07:58) 4790

小島慶子「解縛(げばく)」しんどい親から自由になる 新潮社、2014年2月初版・4月3刷
 

著者は、タレントでエッセイスト。

1927年オーストラリア生まれ。
小学生の頃、シンガポールと香港で暮らす。学習院大学卒。

1995年にTBSにアナウンサーとして入社。2010年からフリー。

15歳から15年摂食障害に苦しみ、
2人目の男の子を出産後、33歳で不安障害に。治療の過程で、
主に母親との関係を中心とした生育関係の原因が判明。
カウンセリングなどを通じて
自分と家族との関係を捉えなおすことになる。
 


本を読んで、重く苦しい気持ちになった。
家族とのかかわりがこれほどの影響を与えることになるとは。

この人がアナウンサーとしてスタートした時のことを、私はリアルタイムで見ている。
いわゆる爽やかな女子アナとは違う一風変わった人だという印象を持ったものだ。
アナウンサー現役時代にまさに摂食障害で苦しんでいたのだから、
爽やかなばかりではおられなかったのだろう。
 
父、母、9つ違いの姉それぞれに対する思いが書かれている。
自身は33歳で2人目の子どもを出産後、自分が母となってから
これまでずっと抑圧されていた家族への怒りが出て来たという。
 
家族からは「3歳から反抗期だった」と言われ、「扱いにくい子だ」と思われていた。
自分では「小島家の鬼子(おにご)」と言っている。
 
あるベビーシッターが言ったという言葉、
「男の子は身体が疲れる。女の子は心が疲れる。すぐ泣く、すねる、嘘をつく。」

男の子に比べ女の子は育てやすいと言われるが、
孫を見ていると確かに体力的には男の子の子育てには大変さを感じるが、
私自身2人の娘の親として、女の子だから楽だとも思わない。それなりに苦労はある。
 
著者はいじめにもあった。癖のある自我の強い子のようだったから、
同年代の子には理解できない存在だったのだろう。
 
特に影響があったのが母親だったと聞き、親の影響力の大きさにはただただ驚くばかりだ。
9歳上の姉が結婚してからは、自分だけに母親の意識が向くことで重圧があったのだろう。
 
母とは毎日のように言い争いをしていたという。
「ただ認めてほしかった。一生懸命頑張っているのね。」と言ってほしい思いだけだった。
「そこにいてくれてありがとう。」と受容して欲しかったのだ。
 
それを救ってくれたのが夫だという。
そのうちに、母の不安と孤独を知り、1人の女として母親を捉えなおすことが出来たのだ。
母が支配したかったのは、娘ではなく自分の人生だったのだ。
 
「いつか家族のことを書いてみたら」と勧めたのは神足裕司(こうたりゆうじ)さん。
広島と東京で活躍する人で、広島のテレビでもよく見ていた人の名前を見て驚いた。
 
神足裕司さんは・・・・

<吉川晃司は水球部の後輩。雑誌の企画で「コピーライターにおけるマル金とマルビ」を執筆し
反響を得た。「マル金・マルビ」は流行語となり、同年の第1回流行語大賞を受賞した。
一方で放送コメンテーターとしても活躍し、TV、ラジオなどメディアへの出演機会も多い。
禿頭で黒縁のメガネと蝶ネクタイがトレードマーク。
 
2011年9月、広島での番組収録後に帰京する際、搭乗した航空機内で体の異常を訴え
「くも膜下出血」とされ緊急入院となった。2012年年9月に退院したが、
半身麻痺及び高次脳機能障害の後遺症が残る。退院後家族は自宅介護の道を選ぶ。
201312月、発病後初の著作「一度、死んでみましたが」を上梓した。>
 
思わぬことで、2人のつながりと、人間が生きるということの大変さを知った。
こんなエピソードもある。

20116TBSラジオ『小島慶子キラ☆キラ』の生放送中に立ち寄った秋野暢子が
1986年の人気TVドラマ『男女7人夏物語』の主人公カップル(明石家さんま、大竹しのぶ)は、
神足裕司夫妻がモデルだと発言。当時夫人への取材の事実があったことをその場で認めた。>

ブログランキングアップにつながりますので、
投票ボタン↓を押してくだされば嬉しいです。





スポンサーサイト




美しく歳を重ねるために


タイトル画像

川上弘美『なんとなくな日々』

2015.12.26(07:37) 4789

「なんとなくな日々」川上弘美著、岩波書店、2001年3月発行

川上 弘美(かわかみ ひろみ1958年生まれ)は、日本の小説家。東京都生まれ。
お茶の水女子大学理学部生物学科在学中よりSF雑誌に短編を寄稿、編集にもたずさわる。
高校の生物科教員などを経て、1994年、短編「神様」でパスカル短篇文学新人賞を受賞。
1996年「蛇を踏む」で芥川賞受賞。

幻想的な世界と日常が織り交ざった描写を得意とする。
作品のおりなす世界観は「空気感」と呼ばれ、内田百の影響を受けた独特のものである。
その他の主な作品に『溺レる』、『センセイの鞄』、『真鶴』など。俳人でもある。


この作者は「センセイの鞄」で知っていた。

エッセイが苦手で、この文章は
「がまの油をぎゅうと絞るようにして書いた」「そこはかとないことごと」だ。

公民館でたまたま見つけたかなり古い本。

文中に2人の息子は出てくるが、
夫の存在が全く出てこないのが不思議なほどだった。
2009に離婚したというから、この本が書かれた1997年~2000年頃すでにその予兆があったのか。いらぬ想像だけど。

エッセイとはいえやや抽象的な不思議な世界が広がる。「幻想的な世界と日常が織り混ざった描写を得意とする」を実感。
 
 
ブログランキングアップにつながりますので、
投票ボタン↓を押してくだされば嬉しいです。



美しく歳を重ねるために


2015年12月26日
  1. 小島慶子『解縛』(12/26)
  2. 川上弘美『なんとなくな日々』(12/26)